2012年09月09日

「フロー体験喜びの現象学」を読んだので書評してみた

フロー体験 喜びの現象学
人は、時として、深く何かに没入し、他の何ものも問題とならなくなる状態に入る事があります。
そんな時は、文字通り、時間の経つのを忘れてしまいます。
例えば、プラモデルを作っている時や、ギターを弾いている時、長電話をしている時など。
著者のチクセントミハイ氏は、時間を忘れて物事に集中して夢中になっているこの状態の事を、フローと名付けました。

また、人は、結果を求めて行動していると、逆に結果を出せる可能性を狭めてしまいます。
例えば、単に金を求めて働いている場合、
「俺は金の奴隷かよ」
という思いが頭のなかに浮かび、やってられない気持になるものです。
すると、仕事への情熱が冷め、よい成果を成し遂げる事が出来なくなります。
一方で、
「金とか評価とかは別にどうでもいい。とにかく楽しいからこれをやっているんだ俺は」
という内発的動機による自己目的的状態で夢中になって仕事や勉強をしている(=フロー)と、結果的に、よい評価を得てしまうものです。

ということは、人生の中でなるべく多くの時間をフロー状態で過ごす事が出来れば、内面的にも外面的にも人生が充実するという事になります。

では、一体どうしたらフローに入れるのでしょうか。
その辺りを詳しく書いているのが、この書籍です。
ある意味、人生の生き方を説いた哲学本です。

95ページにはフローと不安と退屈の関連図が

フローの条件は、自分の能力と、挑戦する課題との釣り合いです。
能力があるのに難易度の低い課題にとりくめば人は退屈し、逆に、能力以上の困難な課題に直面すれば、人は不安を覚えて逃げ出したくなる。
能力と課題とがちょうど釣り合っているゾーンに位置している場合、人は夢中になって行動することが出来る(=フロー)、という感じ。

例えば、ギターを全く触ったことが無い人が、初めてギターを手にした場合を考えてみます。
なにせギターに触るのが初めてですので、全てが新鮮で、解放弦の音を鳴らしただけでも楽しく、人差し指一本指奏法でフレットを押さえてドレミファソラシドの音階を弾いてみるだけでもう夢中です。
この場合、自分の能力と挑戦する課題とが(ともに低次元ですが)釣り合っています。フロー状態です。

しかしながら、徐々にギターを弾くのに慣れてきて、解放弦を鳴らす事にも退屈し、音階を弾くことにも飽きてきます。
つまり、挑戦する課題に対し、自分の能力が高くなってきたので、飽きが生じてきたという事。
そこで、次の段階の挑戦を求めて、コード(CとかAmとか)を覚えたりすれば、能力と課題とが再び釣り合い、フロー状態に戻る事が出来ます。

さて、この時、人によっては
「いや、俺はコードを覚える事をとばして、もっと凄いことに挑戦しちゃうぞ」
と、欲を出し、ケリーサイモン氏の超絶教則本に手を出したりすると、当然ながらまったく弾く事が出来ず、挫折していきます。
この場合は、自分の能力に対し、挑戦の難易度が高すぎて不安を覚えた、という事になります。

137ページに「音楽のフロー」という段落が

出来るだけフロー状態であり続けられるように自分の行動を再設計する事が、楽器演奏を含む様々な分野で上達の要である、という感じ。
ちょっと長くて文字が小さくて難解な本ですが、映画「燃えよドラゴン」でのブルースリーの台詞「考えるな感じろ」の意味が分かるようになります。

posted by よしとも at 02:59| Comment(0) | 日記
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